2014年06月06日
親ウナギの大半は海ウナギ
魚の頭部にある耳石(じせき)の輪紋を数えると、日齢や年齢を知ることができることはよく知られています。さらに、この耳石を細かく分析すると、その魚が海で暮らしていた期間や、その後、淡水で暮らしていた期間も分かります。
耳石は「カルシウム」質の硬組織ですが、海に棲んでいると、海水に多く含まれている「ストロンチウム」(淡水にはほとんど無い)が蓄積されます。カルシウムとストロンチウムの化学的な性質が似ており、置き換わって蓄積するのです。
(たしか、そうだったと思います(^_^;)
ですから、耳石のある部分のカルシウムとストロンチウムの比を調べることで、ある時期に、海水・汽水・炭水のどこに棲んでいたのか分かるのです。履歴書みたいなものですね。
ここからが本題
日本から産卵回遊に旅立った銀ウナギを各地から集めて、耳石から回遊履歴を調べると、500尾中、なんと、「川ウナギ」は80尾(16%)しか含まれていなかったそうです。
つまり、産卵にむかう親ウナギの84%は「海ウナギ」と「汽水ウナギ」だったということです。
少ない調査事例ですので、ホントにウナギ全体がそうなのかは、断定できません。もしそうだとしても、もともとそういう比率だったのか、それとも、川ウナギが激減してそうなったのかは、分かりません。
でも、おもしろい調査データですよね。
2014年05月21日
平成25年2月
環境省は平成25年2月1日、第4次レッドリストの公表で、ニホンウナギを「情報不足」から「絶滅危惧IB類」へカテゴリー変更した。
その時の変更理由を、あらためて、ここに残しておこう。
ぶんや
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ニホンウナギには海域で一生を過ごす個体と、海域から河川に遡上し成長した後、産卵のため再び海域へ下る個体の存在が知られている。前回見直しでは、河川 に遡上する個体が産卵に寄与しているかなど、生態に関して不明な部分が多いことから情報不足(DD)と判断していた。
しかし、2012年5月にスコットラ ンドで開催された国際魚類学会で、九州大学を中心するグループの研究発表により、産卵場であるマリアナ海溝で捕獲されたニホンウナギ13個体すべてにおい て、河川感潮域に生息していた証拠となる汽水履歴が確認され、また淡水履歴がないものも4個体に限られることが明らかとなった。これにより河川へ遡上する 個体が産卵に大きく寄与していることが確かめられ、これに基づき改めて評価を行った。
ニホンウナギについては、農林水産省が公表している全国の主要な河川における天然ウナギの漁獲量データ(漁業・養殖業生産統計,1956年~)が存在す る。日本の河川に遡上する成熟個体数の総数及びその動向は不明であるが、この漁獲量データから少なくとも成熟個体数の変動は読み取れると考えられる。ウナ ギの成熟年齢は4-15年と考えられており、漁獲量データ(天然ウナギ)を基にした3世代(12-45年)の減少率は72~92%となる。
以上より3世代において、少なくとも50%以上は成熟個体が減少していると推定されることから、環境省レッドリストの判定基準の定量的要件A-2(過去 10年もしくは3世代の長い期間を通じて、50%以上の減少があったと推定される)に基づき、絶滅危惧IB類(EN)に選定した。
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環境省は、こうも言っています。
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ニホンウナギが新たに絶滅危惧種に選定されました
環境省では、平成25年2月に汽水・淡水魚類の新しいレッドリストを公表し、これまで生態に関して不明な部分が多いことから情報不足(DD)としていたニホンウナギを、初めて絶滅危惧IB類に選定しました。
ニホンウナギは、マリアナ諸島の西海域で産卵し、孵化した後、日本、台湾、中国などの河口部にシラスウナギとして到達。河川を遡上して親ウナギに成長します。養殖ウナギとは、シラスウナギを捕獲し、人工的に育てたもので、養殖とは言っても、天然のものに依存している状況です。
レッドリスト自体には捕獲禁止などの法的な拘束力はなく、選定されたことにより直ちに食べられなくなるということはありませんが、その保全を進めていくことは大切です。ニホンウナギの保全については、国による国際的な資源管理の枠組みの構築や、県による漁獲調整、研究者による生態調査や養殖技術の開発など、さまざまな主体により進められています。
日本人にとって身近な生きものであるニホンウナギにも絶滅のおそれが高まっている状況から、私たちは改めて生物多様性という自然の恵みの中で生きており、身近な自然を守り、共存していくことが重要であることを認識しなければなりません。
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そのとーり!
釣り人も認識しましょう。
2014年05月21日
平成26年5月
水産庁プレスリリース
平成26年5月9日
「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第6回非公式協議」の結果について
平成26年5月8日(木曜日)、青島(中国)において、「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第6回非公式協議」が開催され、養鰻業界も含めた非政府機関によるウナギの資源管理の協力の枠組み、ウナギ資源保存のための養鰻生産量の制限等について議論されました。
1. 概要
「ウナギの国際的資源保護・管理に係る第6回非公式協議」は、中国、日本、チャイニーズ・タイペイ、韓国の4者間で、今後のAPECにおける協力を 見据え、ウナギの国際的資源管理に係る協力について実質的な議論を行うことを目的として開催されました。なお、参加予定であったフィリピン、インドネシ ア、マレーシア、ベトナムは欠席しました。
2. 開催日程及び場所
日程:平成26年5月8日(木曜日)9時00分~15時00分 会場:青島(中国)
3. 出席者
[日本側]宮原 正典(みやはら まさのり)農林水産省顧問 ほか [中国側]劉 小兵(リュウ ショウヘイ)水産局国際合作処長 [チャイニーズ・タイペイ側]郭 宗海(カク ソウカイ)漁業署簡派技正 [韓国側]チョ ミンビョン 水産政策室養殖産業部課長補佐
4. 結果概要
中国、日本、チャイニーズ・タイペイ、韓国の4者間で、9月の次回会合で以下の点につき結論を得るべく引き続き協議することについて意見の一致を見ました。 (1)養鰻業界を含めた、非政府機関によるウナギの資源管理の枠組み設立 (2)上記枠組みの下で、養鰻生産量の制限により資源を管理すること
2014年05月21日
以前と比べれば相変わらず低い水準
朝日新聞デジタル(2014年4月9日)より
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不漁続きだったウナギの稚魚(シラスウナギ)の漁獲量が今シーズン、県内で持ち直している。すでに昨シーズンの5倍近い約50キロが取れ、国内の他産地や海外でも増え出しているという。復調の原因は不明だが価格は下がり、養殖業者には朗報だ。しかし、取れ具合は県内で偏りがあり、関係者の表情は複雑だ。
県水産資源課によると、シラス取りは昨年12月16日から始まり、今年2月末までに49・6キロが取れた。4年続きで不漁だった2009~12年度の各2月末で、09年度15・7キロ▽10年度10・2キロ▽11年度29・9キロ▽12年度10・7キロに比べると大幅増だ。
ただ、05年度の2月末では250・8キロも取れており、「好調」とは言っても不漁続きの4年間と比べてのこと。県の担当者は「以前と比べれば相変わらず低い水準。とても資源が回復したとは言えない」と、慎重な見方だ。復調の原因についても分からないという。
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まあ、真面目な報道の部類ですよね。
ぶんや
2014年05月21日
メーターオーバー
ウナギには1メートルを超えるものも居りますね。
これは、中流モンスター
↓
これは、ダム湖モンスター
↓
いつか、このブログで
120センチ級、130㎝級のバケモノを紹介したいものです。
男のロマンです。
ぶんや
2014年05月21日
ウナギが吐き出したもの
うな研サイトからの抜き出しです。
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ムカデ:瀬戸内側汽水域で釣ったウナギが吐き出しました。
カニ:日本海側で釣れるウナギはシーズン初期にこの蟹をよく吐き出します。
ガの幼虫:静岡県の汽水域で釣ったウナギが吐き出しました。
ワーム:オリジナル画像ではありませんが、鰻屋に入荷した天然ウナギの腹からこのようにフックが付いたまま出てきました。
アユ:中流域で深夜1時半ごろに釣った78センチが吐きました。18〜19センチありそうなアユです。こんなサイズも丸飲みするんですね。しかも2尾も。
ヤゴ:ダム下の減水区間(池っぽい所)で釣ったウナギが吐き出しました。
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いろいろ吐き出しますね。
今後も、珍しいものを吐いたら掲載していきます。
ぶんや
2014年05月21日
2014年05月21日
ウナギ仔魚の歯
ウナギの前期仔魚(プレレプトセファルス)の歯です。
(東海大学出版会『旅するウナギ』より)
すごい牙のように見えますが、前方に突出していることや、レプトセファルスに成長すると消失することから、摂餌のためでなくカルシウムの貯蔵庫として働いているという説もあるそう。
実際のところ、よく分かっていないようです。
謎多き生き物ですね〜。
ぶんや
2014年05月21日
大型ウナギの定着性
中流の淡水域で大型狙いのウナギ釣りをしていて、よく考えさせられるのが「ねぐら」への固執性、定着性だ。これは、かなり強いように感じている。
そう感じている理由を少し書こう。
大型ウナギが釣れたポイントは強く印象に残っている。大型が居着く条件が揃っているだろうという思いもあって、年をあけて何度も竿を出してみるのだが、同じポイントで大型が釣れることは珍しい。まれに釣れる場合はたいがい大場所だ。
これだけでも「ねぐらへの定着性が強いのでは…」と想像できるが、どうだろう。そもそも数が多くない大型ウナギについてのことだから、よく分からないというのが本音だけれど。
ここからは、ボクの想像の話。
夜釣りをしやすい場所で大型が釣れることは珍しい。これは間違いないことだと思う。
でも、
誰も決して夜釣りをしない場所で、しかも、大型が居着いていそうな雰囲気なのに、釣れないことも多い。そんな場所をすべて思い返してみると、アユ釣り師だけは入る場所であることが多い。
(ボクもアユ釣り師だからよく分かる)
何が言いたいかというと、
アユ釣り師は深場で根掛かりすると糸を切る。つまり、ハリの付いたオトリアユが川底に残される。それを丸呑みした大型ウナギが死んでしまうことも多いのではないか…。そう思うのだ。
このことは、オトリアユに限らず、ウナギ釣りの仕掛けでも同じだろう。ここぞという場所では特に、根掛かりしないよう努力することが必要ではないかと思っている。
ここからは、おまけで
ウナギの定着性や帰巣性についての科学調査の話。
(東海大学出版会『旅するウナギ』より)
◆浜名湖に流入する川で行われた標識放流調査では、3年間で移動した範囲が、最大でもわずか流程710mだったそうである。
◆ヨーロッパウナギやアメリカウナギの調査例では、大部分が放流地点から数十メートル以内で再捕獲されたという。
◆採集地点から上流または下流に10〜17㎞離れた地点に発信器をつけたアメリカウナギを放流したところ、56%は平均9日で元の場所に帰ったそうである。
ぶんや